EMC技術者にとって切っては切れない相手といえば何だと思いますか?
測定?EMC対策?そんなの当たり前です。
常日頃頭を悩ませる相手といえば試験機器の校正になります。
実際私も毎月、頭を悩ませることが多いです。
EMCって何と思ったら下記の記事へどうぞ!!
https://notesandwaves.com/whatemc/
校正って何?
EMC試験に用いる測定器や試験システムの信頼性を確保するための作業のことを指します。
試験結果は製品の適合性評価に直結するため正確な測定値が得られるように
定期的に校正を行う必要があります。
基本的には、1年周期で校正を実施することが多いかな。
よく使用する測定器は半月とも聞くけどとてもじゃないけど人手が足りなくなるね。
たまに全然使用しない機器だったら3年周期とかもあるけど、
その間に故障している可能性があるから簡易的でいいけど、結局定期的に見ないと駄目なんだよね。
校正の対象は?
代表的な校正対象は以下の通りです。
他にも試験で使用する機器はたくさんあります。
受信機/スペクトラムアナライザ
周波数精度、振幅精度、帯域幅特性など
アンテナ
アンテナファクタ(周波数ごとの変換係数)
LISN(AN AMN 疑似電源回路網)⇐よくリッスンて言う事が多いね。
インピーダンス特性、周波数応答
プローブ類(電流プローブ、電界プローブなど)
感度特性
ケーブル
挿入損失、周波数特性
シールドルーム/電波暗室
NSA(正規化サイト減衰量)、SVSWR(サイト電圧定在波比)など
校正の目的は?
測定のトレーサビリティ確保
国家標準(例えばJCSS、NISTなど)に遡れる形で測定精度を保証。
国際規格への適合
CISPR、IEC、ISOなどのEMC規格では校正済みの器材使用が前提。
試験所の信頼性維持
ISO/IEC 17025(試験所認定規格)では校正の適切な実施が必須。
すごいざっくりと書いたんだけど、基本的にはトレーサビリティが確保出来ている
校正機器(ネットワークアナライザとか)を使用して決められた項目の校正をすることが
多いね。例えば、同軸ケーブルだったら使用する周波数範囲(例:30MHz~6GHz)の
挿入損失を測定して校正結果とするとか。
校正はどこでするの?
社外校正と社内校正が主に挙げられます。
1. 社外校正(外部校正)
概要
- 公的な校正機関やメーカーに外部委託して行う校正。
- JCSS(日本)、NIST(米国)、DAkkS(独)など、国家標準へトレーサブル。
特徴
- 信頼性が高い(ISO/IEC 17025に基づく校正証明書を発行可能)。
- 校正結果は国際的にも認められる。
- 認定試験所や製品認証においては、外部校正済み機材の使用が必須になることが多い。
- 費用や時間がかかる(発送、作業、返送の期間も含む)。
2. 社内校正(内部校正)
概要
- 自社の試験所や技術部門が独自に行う校正または簡易確認。
- 社内で準備したリファレンス機材や比較測定により実施。
特徴
- コスト削減・短納期が可能。
- 測定器の日常点検や中間チェックに有効。
- ただし、国家標準へのトレーサビリティは保証されない場合が多い。
- 社外向けの公式試験・認証には認められないことがある。
3. 適用の使い分け
- 社外校正が必要なケース
- 認証試験、公式レポート作成、ISO/IEC 17025認定を受けている試験所
- 規格や顧客から「認定校正機関による校正証明」が求められる場合
- 社内校正で十分なケース
- 開発段階の社内EMC評価
- 日常の性能確認や、外部校正の合間の中間チェック
まとめ
- 社外校正:国家標準トレーサブル、信頼性高い、公式試験で必須。
- 社内校正:手軽・低コスト、ただし公式性に欠ける。
👉 多くの企業では「年1回社外校正+月次や試験前の社内校正」というハイブリッド運用をしています。
上に記載してあるけど、社内で校正が無理そうなやつは社外校正に出していることが多いね。簡単なやつ(同軸ケーブル、アッテネータ等)は社内でトレーサビリティが取れた校正機器で年1回の社内校正をすることが多いかな。さすがに全部社外に出すと校正費用だけで軽く数百万は飛ぶから、毎年、社外校正品の見直し(社内校正化)はするね。
そうしないと校正費用の圧迫が物凄いことになるからね。
ただし、社内校正化するにしても手順書や不確かさ、帳票等色々なことを準備しないと
いけないから大変なんだけどね。(ISO17025って面倒だよね。。。)
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