もし、あなたがEMC技術者になったら

EMC

皆さんこんにちは( ^_^)/

暑い日が続き、外に出たくない今日この頃です(笑)

今日は休日なので、少し踏み込んだ内容をお話ししましょう。
今回は「もし、EMC技術者になったら」というテーマで、どこかしらの試験所に新卒で就職した体で話していきます。
💡 詳しくはEMCとは?初心者向け解説もご覧ください。

EMC技術者になるには

「EMC技術者になるには、大学で電気を専門に学んでいないとダメなのでは?」と思う方もいるかもしれません。
しかし、そんなことはありません。

私自身も電気は一応学んでいましたが、どちらかというと情報系の学部出身です。それでもEMCの世界に飛び込むことができました。
周りを見ても、電気を専門に学んでいなかった人は意外と多いです。

別に電気を専門に学んでいなくても、EMC業界に入ることは可能です。
むしろ、この業界は常に人手不足なので、新卒なら引く手あまたかもしれません(笑)。

試験所に就職したら

入社後の流れ

まず、試験所や会社の説明などで、1ヶ月ほど研修期間があります。
その後、先輩社員付き添いのOJT(On-the-Job Training)が始まります。

最初からお客様相手に試験業務を行うことはありません。理由はISO 17025(試験所及び校正機関の能力に関する一般要求事項)に基づき、個人の力量確認が必要だからです。

試験所ごとに独自の規定を作り、その規定に沿って「ある一定レベルの力量になったら試験をして良い」という段階を踏みます。

最初は、OJTで始業点検の練習や、先輩社員の試験の補助を行います。この期間は大体1年ほどです(試験所によって異なります)。

1年後:試験業務に慣れる

1年経つと、試験器の使い方や点検方法、試験方法が分かるようになります。
まず覚えるのは主な民生規格や車載規格です。

補足
規格の扱い方は試験所によって異なります。
民生専門の試験所なら民生規格だけ、車載専門なら車載規格だけを中心に扱います。
両方やる試験所もありますが、無理に全部覚える必要はありません。
機会があれば規格の解説をしても良いかもしれません。

◆エミッション系・民生規格

  • CISPR 11:工業、科学、医療用機器(ISM機器)
  • CISPR 14-1:家庭用電気機器・電動工具
  • CISPR 32:マルチメディア機器
  • IEC 61000-3-2:電源高調波
  • IEC 61000-3-3:電圧変動・フリッカ

◆エミッション系・車載規格

  • CISPR12
  • CISPR25

◆イミュニティ系・民生規格

  • IEC 61000-4-2:静電気試験
  • IEC 61000-4-3:放射イミュニティ
  • IEC 61000-4-4:ファストトランジェント・バースト
  • IEC 61000-4-5:サージ試験
  • IEC 61000-4-6:伝導イミュニティ
  • IEC 61000-4-8:磁界イミュニティ
  • IEC 61000-4-11:電圧ディップ・瞬時停電

◆イミュニティ系・車載規格

  • ISO 11452-1:一般事項
  • ISO 11452-2:放射イミュニティ(ALSE法)
  • ISO 11452-3:TEMセル法
  • ISO 11452-4:BCI・TWC法
  • ISO 11452-5:ストリップライン法
  • ISO 11452-8:磁界イミュニティ
  • ISO 11452-9:近接照射試験

最初のうちは覚えることが多く大変ですが、実際に体を動かしながら覚える方が効果的です。
規格書を眺めるだけでは意味がなく、現場での試験セットアップや先輩の考え方を学ぶ方が何倍も役に立ちます。

規格書は必ず手元に

試験セットアップ時には必ず規格書を片手に行いましょう。
初心者に見えるかも、恥ずかしいかも…という心配は無用です。
お客様にとって重要なのは、試験担当者がプロとして正確に試験を行えることです。

独り立ちと成長

入社1年で独り立ちすると、打ち合わせから試験終了まで一人で行えるようになります。
この頃からは試験規格だけでなく、アンテナやアッテネータの特性、試験器の特徴、試験の根本的な意味なども理解する必要があります。

これを理解できれば、数年後には頼れる先輩社員になれます。

3〜7年目:経験を積む

入社3〜4年目は、試験業務や校正業務をしっかり任されます。
分からないことは自分で調べ、先輩に質問しながら理解を深めます。

入社6〜7年目になると、試験関係以外に試験所運営やISO17025関連、改善提案なども任されることがあります。
この頃には新入社員も入ってきて、試験業務の負担はある程度減ります。

管理職クラスになると

さらに年数が経つと管理職クラスになり、試験業務から離れて全体の管理やトラブル対応を行います。
この立場では、下の社員から技術的な相談を受けることも多く、今までの知識や経験がフルに活かされます。

まとめ

ざっくりですが、EMC技術者になるとどのような流れで成長していくかを紹介しました。
難しい仕事に見えるかもしれませんが、正確に言えば「地道に経験を積んでいく仕事」です。

試験業務は初めは大変ですが、経験を積めば頼れる技術者になれるので安心してください。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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