皆さんこんにちは😊
今回は「EMC(ElectroMagnetic Compatibility)」について、初心者でも理解できるように詳しく解説します。
電気・電子機器は便利ですが、お互いの電磁波で干渉する危険性があります。
EMC(電磁両立性)は、その問題を防ぐ仕組みです。
目次
この記事を読むとわかること
- EMCの基本
- EMCとEMIの違い
- EMC試験や規格の概要
- EMC技術者の種類と役割
EMCを構成する2つの要素
EMI(電磁干渉:Electromagnetic Interference)
EMIは「自分から出すノイズ」のことです。
放射エミッションや伝導エミッションが含まれます。
💡 例え話:
大音量で音楽を流すと周囲に迷惑をかけますよね。
EMIはその“自分が発する音(=電磁波)”だと考えると分かりやすいです。
EMS(電磁感受性:Electromagnetic Susceptibility)
EMSは「外部ノイズに対する耐性」のことです。
💡 例え話:
大きい音に慣れている人は平気ですが、慣れていない人は疲れてしまうことがあります。
EMSはその“耐える力”にあたります。

EMCとEMIの違い
- EMC 🟢
意味:電磁両立性
ゴール:共存できる
例:Wi-FiとBluetoothが干渉せず動作 - EMI 🔴
意味:電磁妨害
ゴール:問題を起こす側
例:電子レンジでWi-Fiが途切れる
✅ 比較表
| 項目 | EMC 🟢 | EMI 🔴 |
|---|---|---|
| 意味 | 電磁両立性 | 電磁妨害 |
| ゴール | 共存できる | 問題を起こす側 |
| 例 | Wi-FiとBluetoothが干渉せず動作 | 電子レンジでWi-Fiが途切れる |
この両方をバランスよく持っている状態が EMC(電磁両立性) です。
EMCとはつまり?
簡単にまとめると…
- EMI → 出す側のマナー
- EMS → 受ける側の体力
この両方をバランスよく持っている状態こそが EMC(電磁両立性) です。
EMCとは、周囲に迷惑をかけないように“静かにする力(EMIの低減)”と、
周囲が少し騒がしくても“自分は動じない力(EMSの耐性)”を兼ね備えた状態のこと。

EMCの測定とは?
EMCを評価するには、EMI(電磁干渉)とEMS(電磁感受性)の両方を試験します。
EMI(電磁干渉)の測定
- 目的: 機器から出るノイズが規格値以内か確認
- 場所: 電波暗室(外部からの電波が入らない環境)
- 方法: アンテナや受信機で放射・伝導ノイズを測定
- 周波数帯域:
- 伝導エミッション:150kHz〜30MHz
- 放射エミッション:30MHz〜6GHz
- 規格: CISPR、ISOなどの許容値と比較
EMS(電磁感受性)の試験
- 静電気試験(ESD):人の指から放電するような静電気を印加して誤作動チェック
- 放射イミュニティ試験:外部から強い電波を照射して影響チェック
- 伝導イミュニティ試験:ケーブル経由でノイズを注入して影響を確認
💡 イメージ例:
- EMI → 「自分が出す音量が大きすぎないか」をチェック
- EMS → 「周囲がうるさくても自分が冷静でいられるか」をチェック
どちらも規格に基づいて試験され、両方をクリアすることで
他の機器に迷惑をかけず、かつ周囲からの影響にも強い機器 と認められます。
EMC技術者とは?
EMC(電磁両立性)に関わるエンジニアのことを「EMC技術者」と呼びます。
所属先によって得意分野や知識の広さが異なります。
- メーカー所属のEMC技術者
- 自社製品に特化した対策
- 強み:製品の構造や特性に精通
- 弱み:対象が限定され知識が偏る
- 試験所所属のEMC技術者
- 顧客製品を規格に沿って試験
- 強み:幅広い規格に詳しい
- 弱み:設計経験は少なめ
- 試験所を持つメーカーのEMC技術者
- 試験と対策を一貫して実施
- 強み:経験の幅が広く柔軟に対応可能
まとめ
- EMCは電子機器が互いに干渉せず安全に動作できる状態
- EMI(干渉を出す)とEMS(干渉に耐える)の両方を理解することが重要
- 日常生活や製品設計でEMCを意識すると、安全で快適な電子機器環境が実現できる
同じ「EMC技術者」でも立場によって経験や知識の広がりが違うのが面白いところです。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました!!
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